SGホールディングスグループでIT統括事業を担うSGシステムは、AI搭載の荷降ろしロボット「RockyOne」をサンワサプライの東日本物流センターへ導入したと発表した。
「RockyOne」は、ロボットの知能化による操作を推進するXYZ Roboticsが開発したMMR(Mobile Manipulation Robot、自律移動型単腕ピッキングロボット)で、コンテナ内に積まれたさまざまなサイズのカートンを自動で荷降ろしするロボット。

AMR(全方位移動架台)の上に産業用ロボットアーム、3Dカメラモジュール、独立制御吸着ハンドなどを搭載。コンテナの手前から最奥部まですべての荷物を効率的に自動で荷降ろしをする。荷物の積み方が悪い場合や障害物でロボットが自動的に操作できない場合は、タブレット端末上に警告および対応方法を表示し、迅速に復旧できるという。

従前、コンテナからの荷降ろし作業は、荷物が天井近くまで積まれているため手が届かなかったり、重くて持ち運びが困難であったり、夏場はコンテナ内の温度が極めて高くなるなど、過酷な労働環境だったという。自動化ニーズが高まっていたものの、輸送効率を高めるために、コンテナ内には多様なサイズや重さの荷物が天井近くまで積まれており、ロボットによる完全自動化が困難だった。
こうした状況を踏まえ、SGシステムはサンワサプライ商品のサイズや重量、コンテナ内の積載状態などを詳細に調査し、対象コンテナを選定した上で自動化の可能性を分析。自動化が可能なコンテナについて、XYZ Roboticsが安全かつ効率的な荷降ろしが可能か、システム上のシミュレーションで事前検証を行った。
一方、自動化が困難なコンテナは、サンワサプライ(上海)が荷物の積み方など運用面の見直しを実施。混載時でも、ロボットによる自動化率の向上実現に至った。
2024年10月から11月に実施した実証実験では、対象となるコンテナ数の大幅な増加に成功し、コンテナ内の作業者数はゼロ、重い荷物の処理性能は人手の1.5倍(250PPH)、軽い荷物の処理性能はマルチピッキングにより人手と同等(350PPH)を達成したという。PPHは1時間に生産できる数量。
2025年4月からの本導入では、ロボットの高速化と運用面での変更により、処理性能は大型荷物が320PPH、中型荷物が470PPHに向上した。
SGシステムは豊富な物流システムインテグレーションの経験を生かし、販売代理店業務を担当しながら、量産化に向けて安全衛生法および高い品質基準を満たすため、技術指導も行う。XYZ Roboticsは世界各地での納入実績を基に高い技術力と生産能力を発揮し、製造・保守を担当。サンワサプライ(上海)は、国内外で数多くの高品質な製品を取り扱ってきた実績を生かし、調達・検査を担当する。
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