行動分析の必要性が高まっていることに気付いていますか? 購買チャネルの多様化に伴い、商品を購入する前に消費者は比較から検討を行うようになりました。こうした購買プロセスを把握し、販売に生かすには行動分析が重要になります。楽天市場のサイトのアクセス・ログ・データには「どこのページから」「どのようなキーワードで」「いつ」「どのページを見たのか」というデータが分析できるようになっているのですが、ほとんどの店舗がそれを利用していません。こんなもったいないことはありません。行動分析の重要ポイントを解説します。
「楽天市場」の行動分析を行うと、攻め方を最適化できる
「楽天市場」の行動分析は、ユーザー視点でマーケティングをまずは最適化。そして、「楽天市場」の攻め方を最適化すること です。
サイトにどのようにユーザーが訪れるかを調べることで、購入への導線を作ったり、購入を諦めたページを把握することができます。
イベントページやカテゴリーページなどたくさんページを作っても、行動分析をしなければ、それが良かったのか悪かったのかがわかりません。
自ら作ったページに対してユーザーが喜んでいるのか? ページを作っている担当者も知りたいですよね 。だからこそ、ユーザー行動の分析が重要になるのです。
なぜ行動分析が必要なのか?まずは重要性を理解しよう
現在の購買行動のプロセスは、従来のAIDMA理論から大きく変わってきました。知覚から購買に至るモデルを拡張し、AISASに代表される情報収集や情報共有といった購買前後の行動を視野に入れたプロセス・モデルが提唱されるようになってきました。
AISAS(アイサス)は「商品の認知 → 興味の喚起商品の検索 → 商品同士の比較購入の検討 → 購入 → 満足度の情報共有」というプロセス。
さらに現在はAISASから、「Attention(注意)→ Interest(興味)→ Search(検索)→ Comparison(比較)→ Examination(検討)→ Action(行動)→ Share(共有)」といった、AISCEAS(アイセアスもしくはアイシーズ)という意思決定のプロセスが提唱されています。
端的に言うと、消費行動が多様化している消費者にアプローチするための手法として、行動分析の必要性が高まっているのです。
ユーザーのネットリテラシーの向上、比較対象となるサイトの増加、各サイトの利便性の向上が著しい最近では、ほとんどのユーザーが複数のサイトを何度も訪れ、金額や商品特性を見定めながら自分のニーズに合った商品を探します。
検討行動が増えている背景には、「ネット消費行動が当たり前の行動」「スマートフォンの普及」「何かをしながらネット閲覧」「検索エンジンの活用スキルの向上」「比較サイト系の急拡大」「ソーシャルメディア」などがあげられます。
行動分析を行うために押さえておくべき5つの指標
行動分析を行うことで何がわかるようになるのか? それは、商品購入したユーザーの「購入検討中の動き」がわかるようになるのです。
- 購入ユーザーが最初にサイトへ訪れたきっかけ
- 商品・ページ・検索ワード・広告は何か
- どの程度の訪問を経て購入に至るのか
- 購入直前のサイト内での動きを見て、コンバージョン改善の有力なヒントはないか
などなど、購入したユーザーの動き可視化して把握することで、コンバージョンに貢献していた広告やコンテンツを探ることができるようになります。
また、セール商品を購入した新規の顧客が、その後どの位の頻度でサイトを訪れ、どの程度の割合でプロパー(定価販売)顧客に転換しているか? などの分析も可能です。
こうした内容の分析は、楽天市場のRMSから行えます。手間がかかりますが……。私が使っているツールは、セカンドブレインです。簡単な作業でユーザーの行動分析が簡単に“見える化”できるようになります。
ちなみに、セカンドブレインの行動分析は……以下のデータを簡単に見ることができます。自動的にサマリー表示できるため、改善に時間を使えます。
- サイトコンテンツ
- ユーザー別行動
- 流入キーワード
- 楽天市場からの流入
- 外部サイトからの流入
普段使っているツールで私が分析する5つの項目をもとに、どのような分析できるのか、わかりやすく説明します。
1. サイトコンテンツ分析で離脱ページを見つける
楽天市場の店舗内のページ単位で、PV数、直帰率、離脱率、各種コンバージョン値の基本指標値を把握しましょう。
ページ単位で指標値が見て、ページ価値の高い・低いページを見つけよう。「楽天市場」というモールでは、離脱率が高いサイトは問題です。それは、楽天市場に訪れるユーザーのほとんどが買い物に来ているから。
「楽天市場」では、「商品を見て → カートに商品を入れて → 購入を完了する」という、買い物プロセスで比較的寄り道が少なく進めることができるのが望ましい 。どこが離脱ページなのかを見つけることが重要です。
2. ユーザー別行動分析で購入行動を可視化する
サイトに訪れるユーザー単位でのPV数、直帰率、離脱率、各種コンバージョン値の基本指標値を把握しましょう。
「ユーザーがどのような流れでサイトに訪れたのか」「どのような商品やページを見て、買い物かごに入れたのか」「購入したのか、していないのか」を可視化しよう。
ユーザー別行動分析で詳しく見ていくと発見できることがあります。それは、欲しいと思ってすぐに購入する人と、数日間で検討して購入している人が結構いることなんです。
3. 流入キーワード分析で流入からのコンバージョン値を把握
楽天市場内のキーワード検索結果からの流入数「流入キーワード」「流入先ページ」の数字を確認しよう。流入で発生した各種コンバージョンの値を把握します。キーワードによる検索ができるため、楽天市場の広告「サーチワード」「CPC広告」の参考にもなります。
4. 市場内からの流入を把握して楽天内での動きをチェック
楽天市場内のキーワード検索結果以外からの、自店舗への流入数も把握しましょう。流入により発生した各種コンバージョン値もあわせて可視化したいところです。店舗のブックマークやメルマガ、広告などからの流入ももちろん把握します。
5. 外部サイトからのアクセスを把握して流入を把握
楽天市場以外からの店舗への流入を、参照元、流入キーワード、流入先ページ別に集計しましょう。流入により発生した各種コンバージョン値もあわせて把握します。
検索エンジンからの流入は、「ビックワードSEO」と「ロングテールSEO」での流入の2つに分類できます。自社の商品を見てもらいたい人が検索しそうなキーワードを、商品タイトルに複数キーワードで入れること。それをこの流入分析から把握することがポイントです。
外部サイトからの流入で商品が売れている店舗はしっかりした商品登録ができているということです よ。
著者情報
松本 順士 エスアンドティーパートナーズ株式会社 代表取締役
Web・ECのコンサルティング業務、運営代行、制作業務、インターネット広告事業、 タレント・モデルのトータルプロデュースを行っている会社です。
17歳からWeb業界一筋で、自身が立ち上げたレディースアパレルブランドを4年で年商30億のサイトを作ったノウハウをもとに、現在はコンサルティングを行っています。
実績があるからこそ、コンサルティングができ、現在1000社を超えるコンサルティング実績があるため様々な業種に対応しています。
私の考える“強靭な企業”の条件は、意思決定の機敏さと、全員が一体感をもって効率的に行動できること。そして、事業プロセスの改革によって環境の変化にスピード感をもって的確に対応し、持続的な成長を実現することです。
社名にもあるとおり「Strategy & Tactics = 戦略 & 戦術」を駆使して新しい価値の創出に挑戦しています。