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専門家が解説

ECモール店の運営をサポートするサービス・ツール提供企業選びのポイント

ec vision株式会社代表取締役、一般社団法人ECスキル認定協会理事小野稜太

早稲田大学在学中の2014年からECモール向けの支援企業にてインターン生として働く。新サービスの立ち上げを経験し、現在は2300社以上が契約するネットショップ向けの日本最大級のサービスに成長。在学中に500ショップ以上をサポート。楽天市場の運営代行も経験し、短期間で売上8倍など結果を残す。卒業後は、三越伊勢丹ホールディングス内の情報システム部門（SE）として新卒入社。その後、売り上げに伸び悩む日本全国の中小企業の支援にやりがいを感じ、ECモール向けの支援企業に戻る。2021年に独立。ec vision株式会社の代表として全国のECモール出店者の支援を行う。全国の2000名以上のネットショップ経営者やスタッフとつながりを持つ。

ECモール店の業務をアウトソーシング、およびツールを導入しようとする前に押さえておくべきこと

外部の力を借りて「事業を伸ばす」「業務効率をアップさせたい」などと考えたときにまず着手すべきことは、現状の自社の課題を整理することです。「売り上げが落ちてきている」「利益が出ていない」「業務量が多く新しいことに着手できない」などと整理をしましょう。

そのうえで、「売上減をカバーしたい」「業務を一部代行してほしい」などと改善策を考え、マッチした支援会社を選ぶようにします。

外部に業務をアウトソーシングする領域・範囲・件数などが増えれば、コストは増大します。自社の戦略とサポート企業の支援内容が一致しているかなど、アウトソーシングや支援を受けたい内容をこまめに確認を取る必要が出てきます。

ECモール運営をアウトソーシングできる外注先

ECモールへの出店、サイトを運営する企業をサポートしている企業はたくさんあります。ジャンル分けをすると以下のように大別できます。

制作事業者

サイトの制作やコーディングに関する業務を手がける事業者です。クラウドソーシングのようなプラットフォームで探すことができるフリーランスから、制作に特化した大企業までさまざまな個人・企業が制作業務を請け負っています。たとえば、1つのLP制作業務でも、数万円から数百万円まで幅が広いのが特徴です。

運営代行業者

社内のリソースが不足している、高い知見を有する企業に業務をお願いしたいなど、業務を外部の企業にアウトソーシングしたいといったニーズに対応する事業者です。たとえば、大手企業が初めてECモールに出店する場合など、知見の高いサポート事業者に運営をアウトソーシングできます。業務をアウトソーシングする場合、ある程度の投資が必要となります。ただ、先行きが不透明ななかでの正社員採用、ECのスキルが入社前に正確に把握できないといったリスクを避けるために、運営代行事業者に業務をアウトソーシングするといったケースがあります。

コンサルティング・マーケティングシステム提供業者

「何から対策すればいいかわからない」「さらに成長したいので課題を潰してほしい」などのニーズがある企業が依頼・相談するのが、コンサルティング業者やマーケティングシステム提供業者です。

一元管理や受注管理システム提供会社

複数モールに出店した場合、在庫管理や受注管理を各モールの管理画面で行うと、時間のロスや機会損失が発生してしまいます。それを防ぐためのシステムが一元管理、受注管理システムです。

情報提供、内製化を支援する業者

月額会費制で、ニュースレター、質問掲示板を提供している事業者などです。「資金に余裕がない」「スタートアップで投資できない」といった企業が、コンサルティング業者などに依頼する前にこのようなサービスを活用して自ら学習し、ECモールを攻略するための全体像・最新情報を得るために活用するケースが多いです。まずは店長や担当者の知識レベルを向上するために活用するケースも多いです。

ECモール店運営を支援するサービス・ツールの選定ポイント

事業フェーズや規模感、ニーズや悩みに適した支援事業者を選びましょう。一番重要なのは自社の目的と目標に合致しているかどうかという観点です。

制作事業者

「きれいなサイト」と「売れるサイト」を作るノウハウは異なります。それと同様に、ECモール内では独自のノウハウがあり、「ECモールに精通している」「ECモールでのノウハウがある」というサポート事業者を選定しましょう。ECモールでは、売上実績やレビューを蓄積することによる検索順位の上昇、ランキングなどの上位獲得で、売れ続けるというサイクルを作ることができるようになります。このような成功サイクルを作り出すには、まずベースとなるサイト制作は、モールで実績をあげている制作業者を選びましょう。「事例が豊富にあるか」「自社に適した提案か」「PC中心ではなく、スマホページの最適化にも精通しているか」などが選定ポイントです。

運営代行業者

以下のポイントを押さえて、運営代行業者を選定しましょう。過去の成功経験や運営代行業者の主観ではなく、客観的なデータや数字から運営を受託してくれるか自社が扱っている商品ジャンルの知見、および成功事例を持っているか PDCAを回す仕組みが整っているか担当者のレスポンスが速い以下のポイントを押さえて、運営代行業者を選定しましょう。

過去の成功経験や運営代行業者の主観ではなく、客観的なデータや数字から運営を受託してくれるか
自社が扱っている商品ジャンルの知見、および成功事例を持っているか
PDCAを回す仕組みが整っているか
担当者のレスポンスが速い

コンサルティング・マーケティングシステム提供業者

以下のポイントを押さえて、コンサルティング・マーケティングシステム提供業者を選定しましょう。

自社が扱っている商品、ジャンルについての知見、経験、および成功事例があるか
最新の知見を保有しているか
広告以外のアクセスUPの知見、ノウハウがあるか施策の根拠の説明、およびシュミレーションを立てることができるか

「施策提案がメイン」「広告運用代行が得意」「作業代行が得意」など、それぞれ得手不得手があります。自社の課題と投資できるコストを明確にした上で、複数の業者からヒアリングをしましょう。

ECモールでは各ジャンルごとで勝つための方程式があります。そのため、ジャンルの特性を熟知している事業者であることが重要となります。注意したいのが、過去の成功体験や大手店舗の支援実績を売りにする事業者。発注先企業を改善できるかどうかとは別問題ですので注意してください。また、自信や実績のある事業者ほど、契約期間を縛りませんので、任意で契約期間を設定できるなどもポイントとなります。

一元管理や受注管理システム提供会社

提供企業のシステムはそれぞれ強み・特徴が異なりますので、自社の解決したい課題、中長期の成長戦略を明確化した上で比較して決定しましょう。

売り上げや受注件数で、ある程度のコストが決まりますので、まずはコスト面での比較が必須となります。それを踏まえ、自社の目標や成長戦略に合わせて、選定しましょう。さまざまな機能やアプリを追加できるシステムもありますので、メインの用途以外の機能などもチェックしてみてください。

情報提供、内製化を支援する業者

月額制などによる情報提供、ツールによる内製化を支援する事業者もあります。マーケティングや施策を内製化できれば、素早い判断、意思決定ができるようになります。一方、教育コストの増大、外部企業への依存といったリスクが高くなる可能性がでてきます。店舗の課題が何かを最初に明確にし、リスクを踏まえて事業者を選定するか否かをまずは判断することをおすすめします。

ECモール店運営を支援するサービス・ツール選定の料金・費用感、見積もりのポイント

制作事業者

1つのLPを例にしても、数万～数百万円と金額に大きな開きが出るケースは少なくありません。まずはお試しという位置づけで、小ロットで発注できる複数の業者に依頼し、自社の世界観とマッチした制作を提案してくれる業者を選ぶのも1つの方法です。見積もりを依頼する際は、ミスマッチが起きないよう、出店先のECモールに強い制作業者を選ぶようにします。たとえば、単品リピート通販と楽天市場のようなECモールでは、売れる構成やデザインなどが異なります。

運営代行業者

月額5万円程度で一部業務（たとえば、制作を決められた工数範囲で作成依頼できるサービス）を、受注業務やカスタマーサービス（CS）を含め運営面の大半を実施する事業者などさまざまあり、利用料金も大きく異なります。まずは外注したい領域を明確化・明文化した上で、複数の事業者に見積もりを依頼しましょう。「安ければいい」という安易な考えはやめましょう。ヒアリングを通して、事業者のスキル、レスポンスの速さなど見極めて正式発注するようにしましょう。

コンサルティング・マーケティングシステム提供業者

費用は月額5万円程度から30万円が相場でしょう。コンサルティングサービスの一環として広告運用代行も手がけるといったサービス設計もあり、こうした場合は月額費用はさらに高くなることが想定されます。複数の事業者に見積もりを依頼することが重要です。事業者によって得意ジャンルは異なるので、自社が扱っている商品ジャンルの経験・成功事例ががあるといったことは必ずヒアリングしましょう。最低契約期間、解約時の条件なども事前に確認しましょう。

一元管理や受注管理システム提供会社

月額固定の料金、受注件数に応じた課金などさまざまな料金体系があります。機能面、安定稼働するかなど、実際に利用経験のある店舗に相談することも検討したいです。それと金額面を踏まえて事業者およびサービスを選定したいです。また、導入後に不満が発生しても、再び変更することは手間とコストを考えると難しい領域です。慎重に選定するようにしましょう。

情報提供、内製化を支援する業者

月額5000円程度で紙媒体によって情報提供をしてくれる事業者、ネットを通じて月額数万円、会員制のサービスなどさまざまです。お試し期間、解約条件などを確認し、選定するようにしましょう。

初めてのアウトソーシングもしくは切り替えで押さえておくべきポイント

初めてアウトソーシングする場合の目安

コールセンター・コンタクトセンター業務のアウトソーシングは、自社対応だけ対応しきれない、つまり「あふれ呼」（話中や放棄数）が出てきた場合に考えましょう。最初は、スタッフ数人からでも自社で運営してみることをお勧めしますが、目的が明快な場合はアウトソーシングを検討しましょう。アウトソーシングする場合には、新規顧客のみの対応であれば顧客登録も行ってもらうのか？それはシステムでの対応なのか？エクセルやCSVを翌日送信で対応できるのか、などを考えます。

「今の拠点の品質が悪い」「今の拠点の料金が高い」といった理由でアウトソーシング先を変更する場合、「今の拠点よりも安くて品質が良い」という条件で相見積もりを複数社から取りましょう。提案された概算見積もりから2～3社に絞り、その物流代行会社に見学で足を運んでください。その際、現在の物流代行会社で課題となっている点が、移行先として検討している企業ではどのように行っているかという観点で見学してください。

1時間に5件の新規受注の場合、8時間で40件の獲得になります。同時間帯で電話が重複してかかってくると考えると、最低2名体制が必要です。

◎時給1500円
◎平日対応
◎勤務時間8時間

の場合、2人で営業日22日とすると50万円超の人件費が必要になります。派遣スタッフを雇い入れる場合、時給は1.3倍で計算し、そこに管理者の人件費、スペース代、通信費が加わる予算で設計してください。それを踏まえ、内製化がよいのか、それともアウトソーシングした方が良いのかを検討してください。

初めてコンタクトセンターを切り替えする際の目安

「今の拠点の品質が悪い」「今の拠点の料金が高い」といった理由でアウトソーシング先を変更する場合、「今の企業よりも安くて品質が良い」という条件で相見積もりを複数社から取りましょう。概算見積もりから2～3社に絞り、そのコールセンター・コンタクトセンター運営企業に足を運んで見学してください。その際、現在のコールセンター・コンタクトセンター企業で課題となっている点が、移行先として検討している企業ではどのように行っているかという観点で見学してください。

見積もりのポイント

支援事業者およびサービスは、自社の成長には欠かせないパートナーです。見落としがちなポイントをあげると、「解約の縛りがあった」「2年間解約できなかった」「やむを得ない理由で店舗を閉店した後も費用が発生する」といったケースがあるいため、利用規約はしっかりと確認したいところです。また、担当者の熱意やサポートへの姿勢も大重要です。費用だけで検討するのではなく、さまざまな判断軸をあらかじめ決めた上で総合的に比較検討するようにしましょう。