電算システムホールディングスグループの電算システムは、金融庁から日本初となる日本円建てステーブルコイン発行のライセンスを取得したJPYCと、暗号資産の一種である日本円ステーブルコイン「JPYC」を活用した決済・送金・精算などの社会実装に向けた共同検討に関する基本合意書を締結した。
電算システムが全国のコンビニエンスストアやドラッグストアなどで構築してきた6万5千店超の収納代行・コンビニ決済ネットワーク、JPYCが発行する日本円ステーブルコイン「JPYC」を活用。BtoC、BtoBの決済、企業間精算のユースケースを順次具体化していくとしている。
EC決済などにも日本円ステーブルコイン「JPYC」を活用していく理由
現金を前提とした手続きが残る領域、国境を跨ぐ取引では、コストや時間的ロスが顕在化している。特に、越境ECや訪日観光客など、多様なニーズに応える決済手段の整備は喫緊の課題という。こうした課題に対応するため、日本では2023年6月に改正資金決済法が施行され、銀行や資金移動業者による電子決済手段(ステーブルコイン)の発行が制度上できるようになった。
この制度に基づき、JPYCは2025年8月18日付で資金決済法に基づく「資金移動業者」の登録を取得。日本初となる、日本円と1:1で交換可能な電子決済手段「JPYC」の発行、償還を2025年秋から始める予定だ。裏付け資産は現金、日本国債で保全され、Polygon、Avalanche、Ethereumといった複数のブロックチェーンに対応する予定という。
電算システムはこうした制度整備と日本円ステーブルコインの登場を踏まえ、2024年5月7日にJPYCとの資本業務提携と業務提携に関する基本合意を公表。低コストな新決済・送金基盤の社会実装を掲げ、コンビニ払込票における「JPYC払い」や、EC・観光領域での活用検討を明示していた。今回の合意で協業関係を一段と深化させる。
「JPYC」を活用した決済・送金・精算などの社会実装に向けた構想
電算システムは実店舗決済とEC決済などの各チャネルで横断的に使える設計を進め、社会実装を見据えたサービス化へと落とし込んでいく。
決済基盤に日本円ステーブルコイン「JPYC」を採用。外部サービスとの連携性や高度な拡張性を確保し、一般消費者にとって既存の支払い体験を大きく変えずに簡単・便利に使えるようにするという。
QRコード、バーコードやタッチ端末を用いたレジでの支払い、オンラインでの簡単決済といった従来型のデジタル決済手段のUXはそのままに、ポイントやクーポンをステーブルコインと併用して支払う、制度適合性と技術的合理性を兼ね備えた決済体験の実現可能性について検討を進めていく。
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