DGビジネステクノロジー(DGBT)は5月20日、オンライン不正検知ソリューションのSift Science, Inc.が公開したレポート「Q1 2025 Digital Trust Index」の日本語翻訳版「不正決済の現在地──デジタル変革期におけるリスクと対策とは」を公開した。DGBTはSiftの日本における提供・支援パートナー。

レポートでは金銭被害のほか、“誰でも加担しうる”という構造的な問題として不正決済に着目。不正決済は一部の悪質な犯行ではなく、SNSや生成AIの進化を背景に、一般人も関与する“民主化”が進んでおり、その結果、多くの人々が被害を受けている現状が浮き彫りになっていると指摘している。
レポートの主な内容は次の通り。
- 不正決済の最新動向と攻撃率(依然として3.3%の高水準)
- 業界別・決済手段別に見る不正決済の傾向とリスク
- “お小遣い稼ぎ感覚”で一般人が不正に加担する時代の到来
- Silver Bullet Configsなど、拡散される不正テンプレートの実態
- 各世代のオンライン消費行動や意識の変化
- 不正決済が消費者の“信頼”に与える影響
- ユーザーの“信頼度”を軸に、不正判断をアップデートする方法
注目トピックであげているのは「不正被害額」「不正加担の状況」「不正被害の経験」。
不正被害額
ECの不正被害額は2029年までに1070億ドル(2024年比で141%増)へ拡大すると予測。約90%の企業が不正行為によって年間売上の最大9%を失っているとした。レポートでは、「被害はもはや『例外』ではなく『前提』として備えるべき時代になった」と指摘している。
不正加担の状況
SNSや匿名性の高いチャットアプリで拡散・販売される不正専用ツールなど、誰でも不正に加担できる環境となっていると指摘。不正サービスの“テンプレート化”が進み、専門知識がなくても不正実行が可能となっているという。消費者の23%が「不正決済に関与、または関与者を知っている」と回答しており、Z・ミレニアル世代の一部が“お小遣い稼ぎ感覚”で不正決済に加担するケースが増加し、不正行為のハードルが著しく下がっていると指摘している。
不正被害の経験
不正決済は今や消費者の約半数(44%)が被害を経験していることがわかった。不正決済はECサイトでの被害が顕著。Siftの調査では、68%の消費者が不正被害をきっかけにそのサイトでの購入を中止し、62%が安全性への不安から取引を断念した経験があるなど、信頼喪失が直接的な売上減少につながるとした。

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