前回までは、「カゴ落ちメール」の効果や普及状況、さらにECサイトにおけるメールマーケティングの実状や課題についてお話をしてきた。そろそろ「カゴ落ちメールをやらない理由はない」ということをご理解いただけただろうか。今回は実際にカゴ落ちメールを始めるにはどうすれば良いかをご説明したい。
カゴ落ちメール配信の流れ
カゴ落ちメールを配信する仕組みには何通りかある。カゴ落ちメールを実装する方法を検討する前に、まずはどのような流れでカゴ落ちメールが配信されるのか確認しておこう。カゴ落ちメールを配信する大まかな流れは次の4つのステップだ。
技術的な詳細はここでは割愛するが、それぞれのプロセスでユーザーの行動履歴やメールアドレスなどのデータ連携が必要なことは何となくイメージしていただけると思う。
カゴ落ちメールを配信する3つの方法
カゴ落ちメールを配信する仕組みは次のような3通りがある。
- ECシステムとメール配信システムの組み合わせ
- マーケティングオートメーション
- カゴ落ちメール配信ツール
特長とメリットとデメリットは下記の表の通りだ。
それぞれを具体的に確認していこう。
1. ECシステムとメール配信システムの組み合わせ
EC側のシステムで(1)のカゴ落ちの認知から(3)のコンテンツセットまで行い、(4)のみ外部のメール配信システムを使うスキームだ。ユーザーIDをキーとしたカゴ落ち情報をメール配信エンジンに取り込めばカゴ落ちメールは送信できる。
この仕組みのメリットは、多くのECサイトが一括配信のメルマガ等で使っているメール配信エンジンをそのまま活用できることだ。
しかしこの仕組みは、カゴ落ちメール配信までの一連のプロセスを手動で行わなければならない。
メルマガなど一括配信が得意な配信システムでは、何らかの事象や条件をきっかけとして自動的にメールを配信する、いわゆる「トリガーメール」を配信する機能が弱いため、対象ユーザーの抽出や配信タイミングは人がカバーするしかない。
カゴ落ちメールで成果を出すためには「リアルタイム性」がもっとも重要な要素の1つだが、手動で配信するこの方法は、リアルタイム性を確保できない。手動での運用をスピードアップして対応するということも可能かもしれないが、現実的とは言えない。
2. マーケティングオートメーション
マーケティングオートメーション(MA)ツールには、カゴ落ちメール機能を備えているものがあるため、その機能を活用するのが2つ目の選択肢だ。もちろん(1)のカゴ落ちの認知から(4)のメール配信まですべてMA内で完結できる。
MAを使えば、Webやメールなどでさまざまなパーソナライズが可能になるため、カゴ落ちメールの実装もMAの機能を活用して細かくシナリオを組める。また、さまざまな機能が備わっているため、カゴ落ちメール以外の施策も実行できるのもメリットだ。
しかしその一方で、シナリオの設計やそれを実装する設定に手間がかかるというのも事実だ。せっかくカゴ落ち以外にも会員獲得やリピート促進など、さまざまなシナリオ設計ができるMAを導入したにも関わらず、「結果的にカゴ落ちメールしかやっていない」ということになれば、宝の持ち腐れになってしまう。
3. カゴ落ちメール配信ツール
3つ目は、ECサイトなどに「カゴ落ちメール配信ツール」を連携させて、(1)のカゴ落ちの認知から(4)のメール配信までを完結させる方法だ。
カゴ落ちメールを配信するために開発されたツールのためメリットは多い。例えば、成果に大きな影響を及ぼすリアルタイム性が確保できるという点だ。
また、カゴ落ちメール配信ツールは既存のECサイトと連携して導入することを前提として設計されているため、簡単なタグの挿入程度と導入障壁は低い。MAと比較して月額コストも安価なタイプが多く、中には成果報酬型のツールもあるので、その場合は費用対効果がより明確になる。
それ以外に、ツールベンダーがカゴ落ちメールに関しての多くのノウハウを持っている点もメリットだ。単にシステムとして導入するだけではなく、どのような運用をすれば成果が出るのかをこれまでの運用実績によって把握している。
デメリットとして考えられるのは、文字通り専用ツールなので単機能に近いものが多い。カゴ落ちメールのコントロールがしやすい管理画面かどうか、また、カゴ落ちメール以外の離脱防止施策も付いているかどうかも合わせて確認すると良い。
少し宣伝させていただくと、「NaviPlusリタゲメール」であれば、カゴ落ちメール以外にブラウザ放棄メール(商品を閲覧しただけでカゴに入れずに離脱したユーザーへ配信するメール)やモーダルポップアップ(ユーザーが離脱しそうになったら配信するポップアップメッセージ)など、複数の離脱防止施策も合わせて使用できる。