カインズ商配のクライアント企業は、月間5万件程の医薬部外品販売事業者、月間2万件程のレディースアパレル、靴、バッグ、一部冷蔵保管が必要なまつ毛のエクステといった美容関連商材など多岐にわたる商材を扱う。文具や玩具、家電といったメーカーの卸物流も受託。BtoC物流からBtoB物流にも対応する。
継続契約し続けるEC企業が多い
千葉県野田市を中心に茨城県に2拠点、山形県に1拠点と総坪数1万800坪で営業を展開。2017年5月には茨城県坂東市に約3000坪のEC物流に特化した新センターを竣工する予定。新センターは空調完備で、一定温度の保管が必要な商材の受け入れにも対応する。
カインズ商配の経営理念は「お客さまへの3つのお約束〜①親切な対応 ②立場に立ったご提案 ③繁盛に貢献〜」。
こうした経営理念にもとづいた業務対応が、一度契約したEC事業者が継続契約し続ける大きな理由の1つという。
現場作業者も含めた月次定例会など、対面を通じた顧客企業とのコミュニケーションを重視している。“顧客企業の声が新たな価値(サービス)を生み出す”という考え方があり、互いにパートナーとして本音で語り合う。クライアント企業の将来のビジョンをしっかりと共有し、「信頼」「安心」「安全」を創り出していくのが目的だ。
システム化を図って効率化を重視する傾向があるが、カインズ商配はこういった泥臭い業務に、新たな気付きや価値(サービス)へのヒントが隠れているのを長年の受託業務から経験。カインズ商配の物流戦略の1つの柱にもなっている。
物流現場での人材育成の一環で、クライアント企業の理念の唱和を朝礼時に実施するなど、現場スタッフ1人ひとりがクライアントの立場で行動ができるように教育も徹底している。
受注対応、顧客管理などバックヤード業務をまとめて対応
カインズ商配は物流代行サービスだけではなく、通販フルフィルメントサービスも手がける。
- 受注対応
- 問い合わせ対応
- 返品対応
- クレーム対応
- キャンペーン対応
- 顧客管理
- DMデータ作成および発送
- 商品保管および発送
- 債権管理
といった通販を行うためのシステム、人材、設備を完備。受注代行・コールセンター部隊は、発注した事業者のCRM戦略をしっかりと担えるように、細心のチェック体制で業務遂行にあたる。
通販のバックヤード業務は毎日のルーティン業務。そのため、物流、受注、コールセンターを異なる会社に委託していると、管理が煩雑となり効率が悪くなる。こうしたバックヤード業務を一手に請け負えることは、委託事業者側のクオリティ担保と業務の効率化はもちろん、コスト圧縮につながることが評価を得ている。
すべての作業現場にハンディターミナルを採用し、業務精度の向上、事務処理の簡素化によるローコストオペレーションを実現。社内にシステムエンジニアが在籍しているため、業務フローが異なる各作業現場の要望を素早くシステム化している。
カインズ商配の伊通洋二専務取締役は今後の展望を次のように語る。
他社からのリプレイス案件が多く、乗り換えた事業者は品質とコスト(運送料含め)にメリットを感じてもらっている。今後もパートナー企業としての取り組みを強化し、クライアント先の商売繁盛にバックヤード領域からしっかりと貢献をしていく。
昨今は通販事業者も販売チャネルが多岐にわたってきている。BtoC配送、卸物流、店舗物流などは対応しているが、今後さらに増えるであろう細かい納入条件への対応も問題なく行う体制を完備している。特に単品通販系の事業者(健康食品・化粧品・サプリメント)には、コストも含めメリットを感じてもらえると考えている。
著者情報
星川 保 ディヴォートソリューション株式会社
2005年2月、セレクチュアー株式会社へ入社。「アンジェ web shop」の商品部部長、物流委託先の責任者を務める。その後、同社ソリューション部の倉庫マッチング事業を担当し、120社を超える物流改善を手掛ける。2012年8月、ソリューション部の独立によりセレクチュアーソリューション株式会社(現・ディヴォートソリューション株式会社)の創業メンバーとして取締役へ就任。web制作、イメージ撮影、物流倉庫マッチング、コンセプト設計などEC支援事業全般をサポートし活動中。