ファッションビジネス・サポーターとしてアパレル企業から評価を得ているオーティーエス。取扱商材は衣類のほか、ジュエリーやファッション小物といった商材まで幅広くサポートする。1986年創業のオーティーエスがEC物流に本格参入したのは2004年。ブランド価値・企業価値の向上が重要なファッションECの要望に応えるため、高価値を提供する物流体制を構築している。
徹底した品質管理体制を構築
物流センターは東京都江戸川区、江東区に5か所。ファッション企業の本社が多い渋谷、表参道エリアから電車で30~40分という、アクセスの良い立地にある。4センターにX線検針機、補修・修理、裾直し作業対応が可能なミシンを完備。ファッション向けに特化した物流センターとなっている。
事業内容には「ファッション物流に関する一切の業務」と明記し。ファッション物流(仕入れ前から販売後といったバリューチェーン)を30年もの間で培った経験・ノウハウでサポートする。
オーティーエスの「品質管理」は、次のような体制を採用しているのが特徴。
「品質管理」を上げるための工程分け
- 仕入れ前
- 販売前
- 販売中
- 販売後
「品質管理」を上げるための商品ステイタス
- サンプル品
- バルク品
- 店頭品
- 顧客品
- 不良品
と細分化。クライアント企業が仕入先への品質改善交渉を行う際のサポート(QCレポート作成)まで行える体制を採用している。
また、倉庫内にはジュエリーの修理対応が行える特殊工房を完備。洋服の修繕作業や裾・丈直しが行えるミシンも保有している。
外部の修理業者に依頼せずに倉庫内で業務を完結する体制を整え、クライアントのファッションEC企業にリードタイム短縮というメリットを提供している。
売りたい企業と買いたい企業をつなぐ「カイテン倉庫」
オーティーエスがここ数年、力を入れて取り組んでいるの在庫の流動化を目的とした「カイテン倉庫」サービス。
ファッション企業だけでなく、EC事業者すべてに当てはまる、「商品が売れない」→「「在庫が増える」→「セールの多発」→「物流コストUP~キャッシュフローの悪化」→「経営状態の悪化」という負のサイクルに陥ってしまうと、そこから抜け出すには相当の時間が必要だ。
そうなる前に正のサイクルに軌道修正を行うためのサポートをオーティーエスが手がける。具体的には、次のようなアクションを行う。
- アウトレットECとの在庫一元化~各モール間をデータ連携し、販売機会ロスの削減・物流費カット
- ストック品の買取サービス~ストック販売の専門企業とのコラボによる在庫買取サービス(ブランド価値を毀損せず現金化を実現)
- クローズSALEの開催・運用~倉庫を利用して従業員や会員向けのクローズSALE開催(オーティーエスには従業員が700名程在籍)
- 海外チャネルでの販売&越境EC~海外ECの多言語対応含め、出店から販売までをトータル的にサポート
こうした物流業務を仕切っていのが執行役員マーケティング部長の小橋重信氏。
「カイテン倉庫」はさまざまな販売チャネルを利用し、クライアント企業の在庫の流動化を促進するサービス。クライアント企業とのより良い関係性構築が、長期契約、物流費正常化、無駄なコスト競争からの脱却につながり、Win-Winの関係性が築けるのではないかと思っている。
著者情報
星川 保 ディヴォートソリューション株式会社
2005年2月、セレクチュアー株式会社へ入社。「アンジェ web shop」の商品部部長、物流委託先の責任者を務める。その後、同社ソリューション部の倉庫マッチング事業を担当し、120社を超える物流改善を手掛ける。2012年8月、ソリューション部の独立によりセレクチュアーソリューション株式会社(現・ディヴォートソリューション株式会社)の創業メンバーとして取締役へ就任。web制作、イメージ撮影、物流倉庫マッチング、コンセプト設計などEC支援事業全般をサポートし活動中。