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専門家が解説

単品通販・単品EC(D2C)
基礎から失敗しない選び方のポイント

DMGコンサルティング 代表取締役                         
ダイレクトマーケティンググループ 取締役 藏内 淑行

日本国内の大学卒業後、オーストラリア遊学を経て、マーケティング代理店で事業推進担当として航空会社の通販事業の構築、Jリーグのサポーターズ事務局開設~運営や化粧品通販などに携わった後、2001年に株式会社ダイレクトマーケティンググループ(DMG)に入社。グループ会社の医薬品通販専門店「たなべ薬房」の経営、通販企業の事業計画やCRMセンター構築やBtoBtoCの営業支援、eコマース戦略支援などのプロジェクトマネージメントなどを中心に活動。単品通販と単品ECの普及に努める。サポートしたEC通販企業は600社以上。      

宝塚大学大学院講師、ダイレクトマーケティング学会講師、一般社団法人「日本通販CRM協会(JeCRM)」顧問、一般社団法人「日本イーコマース学会」エバンジェリスト。著書として「失敗しない単品通販」(2011年2月第4版)、「CRMの時代へ、リピート型通販を目指す方の『単品通販実践マニュアル』」(2015年4月)、「単品ECハンドブック」(2023年3月第3版/改訂版)などがある。2015年7月にグループ内起業で現職。2021年に自社D2Cのメンズコスメ「GAコスメティックス」をプロデュース。AmazonとShopifyでの自社サイトで販売中。                    
※「単品通販」「単品EC」は株式会社ダイレクトマーケティンググループの登録商標です。

「単品通販」のアウトソーシングで押さえておきたいポイント

「単品通販」でアウトソーシングできる業務

各業務・機能やサービスで大別し、アウトソーシングできる企業について説明します。
  1. ECサイトの構築(ショッピングカート選び、システム開発など)営業やマーケティング、システム開発や運用(カスタマイズなど含む)に強い会社、別観点では株式上場企業といった選び方があります。単品通販は日本製のサービスを導入するケースが多くありますが、海外カートもアプリなどを活用し、単品通販での主軸的な売り方である定期コースや頒布会(サブスクやボックスマーケティング)などに適合したサービスを展開するケースもあります。
  2. 広告代理主に総合系やアナログが強い代理店と、デジタル・Web=EC支援を手がける代理店に大別されます。アナログは、媒体がテレビだと主に大手代理店が多く、新聞は大手代理店や新聞社系列の広告代理店の他、小さな記事広告も実施してくれる代理店もあります。紙媒体でも成果報酬の代理店は存在しています。ECのなかでは広告運用のみを手がける会社、クリエイティブ制作を自社内(代理店内)で提供する会社、動画に強い代理店、インフルエンサーやアフィリエイトに強い代理店などもあります。 
  3. CRM代行コンタクトセンター、物流、システム、カートを除けば、基本的には情報誌や紙の同梱物やダイレクトメールが得意な会社。こちらは制作や編集プロダクション的な小規模な集団から大手の印刷会社まで。Webでもコンテンツ制作やSNS代行など、ある程度の特徴はその会社によって異なります。ECでは少ないですが、アナログなら広告代理の一環で他社通販会社とのタイアップ推進(カタログ同送や商品同梱で自社の広告を同封する)なども存在します。
  4. コンサルティング商品開発を除くと、戦略系(企業や事業の将来戦略を策定/助言してくれる)や戦術アドバイス型(EC事業と伴走しながら各種のアドバイスや一部の業務を運用)、運用型(大手モールのECサポートに運用型は多い)などがあります。それ以外の専門業務としては、各種法律のアドバイス(弁護士ではないので、主に広告表現のアドバイス)、広告の代行支援などもあります。商品ジャンルの得意・不得意、アライアンスによるプロジェクト型などもあります。 
  5. 商品開発コンサルティング業と近しく、得意ジャンルが決まっている場合、最近では企業に所属しながら副業として自社とバッティングしない場合は商品開発のアドバイスをしたり、幅広い人脈や経験から適正の強いOEM会社のコーディネーターなども存在します。OEM会社や素材メーカーでも開発力の強い会社は商品開発や商品改良を支援してくれる企業もあります。また、デザイン重視の商品開発やブランド開発を手がける企業も存在します。 
  6. コンタクトセンターコールセンター+その他業務(Web運用やバックヤード業務など)を受託するセンターのことを業界内では「コンタクトセンター」と呼んでいます。そのなかには、単品通販を主軸にしている小中規模から業界を代表する大企業までさまざまな事業者がいます。また、通販企業のグループ会社として、もしくは事業支援部門としてコンタクトセンター業務を請け負う通販会社もあります。
  7. 物流代行倉庫業から、包括して物流業務を受託して代行する3PLなどがあります。小規模〜大規模や複数拠点運営の物流代行業などさまざま。首都圏や大都市圏ではCO2削減の観点で自転車などによる配送代行、バイク便や自転車便を提供する企業もあります。付加価値サービス(アパレルなどでの撮影や採寸や、ECサイトへの商品登録など)を持っている物流代行もあるので、それらも単品通販に応用できます。 

「単品通販」で業務をアウトソーシングする企業の選定ポイント

自社の事業フェーズや規模感やニーズや悩みを踏まえ、自社の目的と目標に合致できるアウトソーシング先企業もしくはサービスなのかを押さえておきましょう。
  1. ECサイトの構築(カート選び、システム開発など)単品通販・単品EC(D2C)の場合、スモールスタートでなければ日本製の単品通販用カートから選定することをお勧めします。既存の単品通販用カートは、費用や基本機能には大差があまりありません。3社ぐらいからヒアリングし、検討することをお勧めします。
  2. 広告代理まずは、広告手法、メディア選定から活用、クリエイティブなどを踏まえ、「自社内でできること」「アウトソーシングした方が良いこと」を区分けしましょう。そして、「アウトソーシングした方が良い」業務について、それを得意としている広告代理店を探します。近年、広告業務は細分化されていますので、代理店においても業務の得手・不得手があります。まずは自社内の実績を把握し、「アウトソーシング先の広告代理店の担当者が、チームや実務に入って協力してもらえる体制をとってくれるのか」の確認をぜひしてください。チームや実務に入って協力してもらえれば、自社内にノウハウを蓄積することができます。そして、予算と目標を開示してもOKというパートナー探しが何より重要です。また、既存取引先である広告代理店がある場合、そことの役割分担といった設計も重要になります。 
  3. CRM代行コンタクトセンター、物流、システム、カートを除けば、基本的には情報誌や紙の同梱物やダイレクトメールが得意な会社。こちらは制作や編集プロダクション的な小規模な集団から大手の印刷会社まで。Webでもコンテンツ制作やSNS代行など、ある程度の特徴はその会社によって異なります。ECでは少ないですが、アナログなら広告代理の一環で他社通販会社とのタイアップ推進(カタログ同送や商品同梱で自社の広告を同封する)なども存在します。
  4. コンサルティング大別すると戦略系、事業系、代行系などにわかれます。また、第3者としての意見を求めるアドバイザリー、事業計画の策定、調査、社内研修、システム構築支援など、依頼する内容によって選定先はさまざまです。自社が発注したいことをしっかりと検討し、見積もりを依頼してください。
  5. 商品開発基本的にはコンサルティング企業が商品開発をサポートする場合が多い。その他、R&Dや企画部門を持つOEM会社、素材メーカーなどに依頼するケースもあります。開発したいジャンルやアイテムがある程度は絞れている場合はOEM会社、素材メーカーを選定しましょう。新ブランドや新ジャンルなどの場合は、コンサルティング企業に問い合わせると良いでしょう。
  6. コンタクトセンター単品通販・ECに強いのか? 専任制か?複数の案件をオペレータが兼任する「シェアード」か?その両方か? 呼量(電話などによる受注数や問い合わせ数)、実績は必ず確認しましょう。また、架電業務中心か? チャットやeメール代行、手書き手紙の代筆などまで依頼できるのか?といったことも、自社がアウトソースしたい業務に合わせて確認しましょう。担当者とアウトソーシングを検討したい企業の実地視察を行うことをお勧めします。
  7. 物流代行単品通販・ECを得意としているか?といったことはもちろん、付加サービス(撮影や個別のメッセージ同梱や手書き対応など)の有無など、単品通販・EC特有の業務に対応しているかは必ず確認してください。実地視察を行い、倉庫や物流センター内の整理整頓の状況、スタッフの接客態度なども確認しておきたいところです。

アウトソーシングに関する料金・費用感、見積もりのポイント

アウトソーシングの下調べの段階で自社の大まかな実績や今後の計画や目標などを共有できそうな企業かどうか、業界内の意見も参考に見積依頼の準備をしましょう。
  1. ECサイトの構築(ショッピングカート選び、システム開発など)新規立ち上げの場合は月額数万円~10万円以内が相場でしょう。オプションの開発など、システム機能の開発によって初期コストは変わります。ECカート移行の場合などは要注意です。以前もしくは現在のECカートと、移行先の新カートの入力項目が移行できるかどうかは要確認。できない場合は想定外のコストが発生します。また、顧客情報、クレジットカードのデータ移行費は企業・サービスによって大きな違いが出ますので、注意したいポイントです。
  2. 広告代理広告代理手数料10%の見積りが出てきた場合、月額30万円の広告予算で手数料は3万円になるため、1か月の期間でしてもらえることはどんなことだろう?と想像しながら検討したいところです。大手広告代理店の場合、月額広告予算1000万円から受託といった目安を設けている企業もあります。また、ECモールの場合は固定費20〜30万円+売上報酬5〜10%といった料金体系を設けている企業もあります。受託側は、自社の人件費、ほぼ自動でできる業務範囲、手間賃(業務量×時給相当)などを設定しているので、広告代理店側の事情や体制をイメージしながら交渉しましょう。 広告予算が確定していない場合は、「松竹梅」プランで提案してもらうようにしたいところです。
  3. CRM代行紙の同梱物やダイレクトメール、コンテンツ制作、SNS代行など、依頼する業務や内容によって価格に大きな違いが出てきます。そのため、目的と目標を共有して見積もりを依頼したいところです。広告と異なり、実績が出てくるまではある程度の期間を要します。できれば年間計画に基づいて、見積もりを取ることを検討してください。
  4. コンサルティング事業系、代行系、第3者としての意見を求めるアドバイザリー、事業計画の策定、調査、社内研修、システム構築支援など、提供してほしいサービスが明快な場合には、人月(担当者数/そのレベルと月間の時間数)も確認してください。戦略系や事業分析などの場合、将来予想の部分(事業計画)を踏まえて、契約期間や内容、料金などをすり合わせしてください。 
  5. 商品開発開発したいジャンルやアイテムがある程度絞れている場合は、いくつかのOEM会社、素材メーカーを選定して見積もりを行い、発注しましょう。コンサルティング企業に依頼する場合は、事業性などをすり合わせてから発注するようにしてください。
  6. コンタクトセンター料金は基本的には固定費と変動費で設計されます。また、売上報酬の有無などを確認し、自社のポリシーに適しているのか? 情報セキュリティのレベル、BCP(事業継続計画)の観点などを考慮した見積になっているのか? といったところも確認しましょう。緊急時にバックアップができる別センターの有無なども押さえておきたいポイントです。 
  7. 物流代行コンタクトセンターと同様です。注意したいのは波動(突然の大規模発注など)吸収で、受注数が多い場合の繁忙期のコストなども確認する必要があるでしょう。

アウトソーシング先の切り替えで押さえておくべきポイント

各業務・機能やサービスで大別し、説明します。
  1. アウトソーシング先の切り替えで押さえておくべきポイントECカート、ECパッケージが提供しているオプションで、自社がやりたいことに対応できるのか? 切り替えようとするポイント(要件定義など)に適合しているECカート、パッケージ、システムなのか?求めている機能が標準ではなくオプション対応や個別開発になるのか? このような点を踏まえて、予算、期間などを確認しましょう。
  2. 広告代理大きな問題がなければ新旧会社の併走方式をお勧めします。特にデザインデータの受け渡し方法、代理店によって抱えている媒体が異なりますので、切り替えない方が通販・EC会社のメリットになる場合もあります。
  3. CRM代行企業としての実績、その実績に導いたキーパーソンの関与度などは確認しておくべき項目です。
  4. コンサルティング商品開発を除くと、戦略系(企業や事業の将来戦略を策定/助言してくれる)や戦術アドバイス型(EC事業と伴走しながら各種のアドバイスや一部の業務を運用)、運用型(大手モールのECサポートに運用型は多い)などがあります。それ以外の専門業務としては、各種法律のアドバイス(弁護士ではないので、主に広告表現のアドバイス)、広告の代行支援などもあります。商品ジャンルの得意・不得意、アライアンスによるプロジェクト型などもあります。 
  5. 商品開発開発およびOEM製造先は、切り替えよりも追加という視点が望ましいです。その場合、ジャンル分けやターゲット別などで第2・第3のOEM製造先といったように考える方が望ましいです。
  6. コンタクトセンター個人情報を含む膨大な顧客情報を取り扱います。そのため、セキュリティ体制は自社が求めるレベルに達しているかなど、サービス力・提供体制は重要です。そして、支援先企業のキーパーソンをアサインおよび関与してもらえるかといったことも確認しておきたいです。 
  7. 物流代行費用と品質が合っていない場合は切り替えを検討すべきでしょう。コンタクトセンターと同様に、BCP(事業継続計画)視点も重要です。東西別拠点、都市と地方にセンター設置なども考慮したいところです。

失敗しない単品通販支援会社の選び方

「パートナー化は可能か?」という視点がとても重要です。自社の一部門のような立ち位置で協力体制を採用してくれる企業なのか?という視点で、じっくりと支援企業の選定を検討してください。

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